本の紹介”人を動かす -D・カーネギー”

ダール・カーネギーの「人を動かす」は、
人間関係の自己啓発本の源流とも言える本です。 

「人を動かす」は人間関係を良くする原則が詰め込まれています。

 

その原則の中の1つに、
”人間にとって、自分の名前が最も甘美かつ大切な音であることを、覚えておく。”
という文章が出てきます。

 

人の名前を覚えることは大切なことである。

しかし、人の名前を覚えるのが得意な人と名前をすぐに覚えられないという人に分かれると思います。

 

 

話は変わりますが、学生時代、尊敬する学年主任の先生がいました。

その先生は就任して1日目、なんと私たち学年100人近くの顔と名前を覚えた状態で

授業を始めました。

生徒を指名するときは座席表を見ずに顔を見て名前を呼んで指名するのです。

その先生は名前の重要性を知り、おそらくかなりの努力をして100人の名前を覚えたと考えられます。

そこには記憶力の良さとか人の好き嫌いの問題ではなく、名前を覚えるコストをためらわず払ったということが重要でだったと思います。

 

現在大人になって「人を動かす」を読むと名前は重要だとか相手に興味を持つとかそういう知識よりも、そのための努力・コストをためらわず払うことができるかが最重要であると思いました。

学年主任の先生は見事にそのことを体現してくれていたように思います。

 

 

私はまだその領域には至っていません。

他人は私をどう評価するであろうかということが頭のどこかに常にある状態です。

自分を大切にすることは正しいことです。

一方で、同時に相手も大切にしそのコストをちゃんと払うことは、さらに難しいことです。

自分も相手も大切にすることで新たな段階に行けると思います。

 

「人を動かす」を人を操るテクニック集としてではなく、相手を大切にするという心的態度をどう表現するかという視点で読むと得るものが大きいと思いますので、お勧め致します。

 

本の紹介”人工知能はどのようにして「名人」をこえたのか?”

「電王戦」というプロ棋士と将棋AIがぶつかる舞台で、プロ棋士に5戦全勝した将棋AI、ポナンザ。

そのポナンザの開発者がどのようにして将棋AIを強くしていったか、本書で詳しく描かれています。 

ちなみに開発初期のポナンザは8枚落ちのハンデをもらっても人相手に負けてしまうくらい弱かったのこと。そのポナンザが改良を重ねてプロ棋士に勝利してしまうのですから、飛躍が凄いです。

 

 

本書が、他の人工知能関連の本と違うのは、将棋AI開発者の手で感じた感覚が書かれている点です。

・教師例不足を解消する「カサ増し」テクニックがあること

・改良する際にはなぜそれが上手くいったか分からない「黒魔術」化している部分があること

人工知能開発には大量のデータが必要となり、初めは「教師あり学習」で強くし、それから後は「強化学習」で強くする流れがあること

・ポナンザの学習に必要な膨大なコンピュータリソース。大量の学習でわずかな進歩があることから「雑巾絞り」と呼ばれることも

 

上記の肌感覚は、AI開発者だけが感じるものでしょう。

本書を読むことでAI開発の要所や勘所の一端が見えてくるのではないでしょうか。

 

 

本の紹介”完全独習 ベイズ統計学入門” ”身につくベイズ統計学”

①”完全独習 ベイズ統計学入学”

その名の通り、ベイズ統計について何も知らない状態からでも基礎が分かる仕様になっています。章末問題を実際に手を動かして回答することで理解度も深めることができます。 

途中にのっているベイズの歴史にまつわるコラムも面白いです。

ベイズ統計について1冊目の入門書として適していると思いますので、

おすすめいたします。

 

②”身につくベイズ統計学

そして上記の”完全独習 ベイズ統計学入門”が終わったら次のステップとしてお勧めしたい本は”身につくベイズ統計学”です。

こちらは”完全独習 ベイズ統計学入門”でできなかった自然な共役事前分布について突っ込んだ解説がされています。

2冊目として最適な”身につくベイズ統計学”をおすすめいたします。 

 

本の紹介”雄弁術―堂々と説得しながら相手に心服される話し方”

人の話を聞くこと・理解することはとても大切です。

そして、聞くことと同様に自分のことをプレゼン・主張することも大切です。

今回紹介する本”雄弁術”には、どのようにしたら人々の心が動かされるような話し方ができるかが書かれています。

 

 

私は雄弁家ではなく口下手な方ですが、この本ではある場面においては誰しもが雄弁家になると言っています。

”喫茶店で友人と話す時”、身振り手振りをつかい堂々としていて聞いていて面白い。

この”喫茶店で友人と話す時”のスタイいるこそが雄弁になるのに直結すると言っています。

本書はこの”喫茶店式雄弁術”を軸にどのようなことに気をつければいいか具体的に描かれていますので、会社などで雄弁が必要になる方には必読の本だと思います。

 

沈黙は金とも言われますが、しかし、黙っているだけではいけない時もあります。

相手の話を聞き、なおかつ、雄弁に語れるそんなバランスの取れた姿勢がベストだと思います。

 

本の紹介”話す技術 聞く技術”

本書はコミュニケーションについての本です。

コミュニケーションはただのメッセージのやり取りではないことを私たちは知っています。生身の人間ですので感情を伴う難しいやり取りになることが多々あります。

だからといって、難しいコミュニケーションを避けていくことは、困難な状況に対して消極的な態度となり、それ以上の進展も望めません。

困難なコミュニケーションこそ、関係をさらに深化させるのに必要となります。

 

感情を伴う困難なコミュニケーションをどう対応すればいいでしょうか。

本書では、陥りやすい典型的な3つの点について焦点を合わせてタフなコミュニケーションを解説していきます。

 

アサーションの本を読んで、自他を大切にするコミュニケーションが大切なことは知っています。

この本では現実問題として、どのような点に気をつけてコミュニケーションをすればいいか事例を多く取り上げて説明しています。

他人と困難なコミュニケーションを取らないといけない人必見の本だと思います。

本の紹介”情報と秩序 -セザー・ヒダルゴ”

今回紹介するのは、「情報と秩序」。 

物質の秩序・物質の配列を「情報」と定義し、どのように「情報」が具現化されるかということを原子レベルのミクロの視点から経済レベルのマクロの視点まで論じています。

 

本書で、製品のことを「想像の結晶」と言っています。
私たちはその「想像の結晶」である車やスマートフォンなどを使って生活しています。

日本には資源が少なく、資源を輸出して生計を立てることはできません。

そのため資源を他の国から輸入し、日本は「想像の結晶」である製品を生み出し海外に輸出する必要があります。

本書を読んで、日本は「想像力」が生命線であると感じました。

想像力を養うための教育を今一度考え直す必要がありそうです。

 

本の紹介”人工知能の哲学 -松田雄馬”

人工知能の「知能」とはそもそも何か。

本書は、それを探るため人工知能の歴史とその周辺分野について記述された本です。

人工知能は、学際的な分野です。

機械学習の分野はもちろんのこと、認知科学脳科学などからのアプローチもあります。

本書では、それぞれの視点から「知能」を論じていますので、
人工知能とその周辺分野を概観するための良い入門書になると思います。

 

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現在はディープラーニングに代表されるようにニューラルネットワークに注目が集まっています。
ディープラーニングの研究をこのまま推し進めていけば人工「知能」が達成されるのでしょうか。 

たしかに「知能」のような動作をするものは作れるかもしれませんが、そもそも「知能」とは何かよく分かっていないので、どこかで壁にぶつかると私は思っています。

その壁を飛び越すためには、脳科学認知科学複雑系などのさらなる知見が必要になってくると思いました。