本の紹介”人工知能はどのようにして「名人」をこえたのか?”

「電王戦」というプロ棋士と将棋AIがぶつかる舞台で、プロ棋士に5戦全勝した将棋AI、ポナンザ。

そのポナンザの開発者がどのようにして将棋AIを強くしていったか、本書で詳しく描かれています。 

ちなみに開発初期のポナンザは8枚落ちのハンデをもらっても人相手に負けてしまうくらい弱かったのこと。そのポナンザが改良を重ねてプロ棋士に勝利してしまうのですから、飛躍が凄いです。

 

 

本書が、他の人工知能関連の本と違うのは、将棋AI開発者の手で感じた感覚が書かれている点です。

・教師例不足を解消する「カサ増し」テクニックがあること

・改良する際にはなぜそれが上手くいったか分からない「黒魔術」化している部分があること

人工知能開発には大量のデータが必要となり、初めは「教師あり学習」で強くし、それから後は「強化学習」で強くする流れがあること

・ポナンザの学習に必要な膨大なコンピュータリソース。大量の学習でわずかな進歩があることから「雑巾絞り」と呼ばれることも

 

上記の肌感覚は、AI開発者だけが感じるものでしょう。

本書を読むことでAI開発の要所や勘所の一端が見えてくるのではないでしょうか。