memo:なぜ分数の割り算はひっくり返すのか
分数の割り算はなぜひっくり返すのか、誰もが小さい時、疑問に思うことである。
大人になるとそもそも割り算(÷)自体使わなくなり全て分数で表現するので、上記の疑問はなくなっていく。
大人になってからこの問題を再考してみる。
なぜ分数の割り算ひっくり返すのか
割り算とは、そもそも単位当たりの量を計算するためにあると考える。
12個のりんごを4人に均等に配ったら、1人当たりいくらのりんごを貰えるのか。
りんご、みかん、人、は自然数だとイメージしやすいが、連続量をイメージすることは難しい。
そこで割り算の登場人物としてりんごではなく連続量がイメージしやすいものを登場させる。
例えば、重さ、距離、時間、速さ、価値、体積、これらの量だと連続量がイメージしやすい。
単位当たりの量を計算するための割り算にこれらの連続量をイメージしやすいものを登場させてみる。
実際に、単位当たりの計算を以下の文章題で考えてみた。
ある店と別の店では同じ燃料が売られていた。
両方とも売っている燃料の量は違うし、もちろんその値段も違う。
どちらの店で買った方が得か、考えてみる。
2リットル 3ドル で燃料Aを売っている店で買うか、
3/5リットル 3/4ドル で燃料Aを売っている店で買うかどちらが得か。
得の定義を1リットル当たりの値段にした時どちらが安いか、という事にする。
1リットル当たり何ドルするかという式は以下になる
3ドル ÷ 2リットル = 3/2 ドル、1リットル当たり・・・①
3/4ドル ÷ 3/5リットル =○○ドル、1リットル当たり・・・②
問題になるのは ②式を計算するとどのような値になるのかである。
②式を求めるのに、式変形によって解くのではなく、あくまでも1リットル当たり何ドルするかで求める。
燃料A 3/5リットルを1リットルにするには、5/3倍する必要がある・・・・④
燃料Aを5/3倍したので値段も5/3倍する。
3/4ドル × 5/3 = 5/4 ドル、1リットル当たり・・・⑤
つまり、②式を文章問題を解くように計算すると、⑤式になり、ちょうど割る数の分数がひっくり返った形になる。
なぜひっくり返った形が出てきたかというと④で1リットル当たりにするために逆数倍しているからである。
割り算を単位当たりの量を求める式だとすると、1単位を計算する過程で必ず逆数倍する行為が出てくる。
これが分数で割り算をするとひっくり返る形が出てくる理由である。
別のアプローチはないだろうか。
12 ÷ 4 = □
何の変哲も無い割り算、はじめて割り算が出てきた時はこう考えた。
4を何倍したら12 になるのか。
4を3倍すると12になるよって、上記の式は3である。
12 ÷ 4 = □
4 × □ = 12
□ = 3
この流れを分数でも適用する。
2/3 ÷ 7/5 = □
この式は、7/5を何倍したら2/3になるのかということである。つまり、
2/3 ÷ 7/5 = □
7/5 × □ = 2/3
と書き直せる。しかし、□の値を求めるのは暗算では難しい。
7/5に逆数の5/7を掛け、その次に2/3を掛けると2/3になる。
7/5 × 5/7 × 2/3 = 2/3
7/5 × ( 5/7 × 2/3 ) = 2/3
7/5 × □ =2/3
□ = 5/7 × 2/3
よって、
2/3 ÷ 7/5
= 5/7 × 2/3 = 2/3 × 5/7
長い式変形となったが、ひっくり返った分数を掛ければいいことがわかった。
このように単位当たりにしたり□に置き換えてみたりして、分数による割り算を考えたが、やはり公式として"ひっくり返して掛ける"という式変形するという計算の方が早いし間違えることもないであろう。
(繁分数式を使えば上記の分数の割り算問題は解決する。しかし繁分数とはどういうことなのかという新たな疑問が出ることになる)