本の紹介”枠を壊して自分を生きる -石黒浩”

今回紹介するのは、”枠を壊して自分を生きる”。

ロボット工学の研究で有名な石黒教授のこれからの生き方・仕事術などに関する本です。

この本は大きく3つのテーマについて書かれていると思います。

■一つ目は、これからくる人間と機械とが融合する未来で、今までの枠組みが通用しなくなり自分で考えることが必要になる。

■二つ目は、”嫌い”という感情との向き合い方の話。自分を進化させる方法。

■三つ目は、筆者の仕事術についての話。何かを成し遂げるためには”死ぬ気”で取り組む必要がある。

 

本の中で、印象に残る文がたくさん出てきます。

 「僕にとっての『考える』は、すなわち『書く』ことである」という文は、かなり強力な文です。頭の中でぐるぐるしているのでは、考える内に入らない、それをノートなりホワイトボードに『書く』ことで考えることになるのだ。

 「実際に、死ぬ覚悟ができると、やはり脳はそれを必死になって回避しようとするようです。」筆者自身も3回死にかけ、あるテーマに文字通り命を掛けて取り組んでいるようです。

 

 この本全体を通して筆者は、常に筆者は”人とは何か、自分とは何か”を考え続けていることが分かります。 

そのことがわかる、筆者の”嫌い”という感情との向き合い方についての書かれた部分について。

「僕には人の好き嫌いがありません。世の中に嫌いな人がいないのです。」

筆者は自分には人に好き嫌いはないと言っています。
人の好き嫌いをなくす、そのなことは可能なのでしょうか?

 

 読み進めていくと、そもそも嫌いという感情はどのように起きるかが書かれています。

「嫌いだと感じる部分は、必ず自分の中にある。これは重要な原理です。」

自分が内部に持つイヤなことを、他人が目の前で再現するから、その人に対して腹が立つと言っています。

これが嫌いを生み出すメカニズムです。

 

「無意識に遠ざけている自分の欠点を教えてくれるのが『嫌い』という感情なのですから、これは大切にしなければなりません。」

「嫌いな人を排除するなんてもったいない。まさに百害あって一利なしです。」

その嫌いという感情を観察すれば、自分が改善すべきところが見えてくると言っています。嫌いという感情を喜んで受け入れ、自分の改善点について思いを巡らし、改善する成長する。

 

嫌いという感情は心地の良いものではありません。できれば避けたい感情です。

しかし、筆者は自分の成長に繋がるならと真正面から向き合っています。

嫌いという感情を通して自分を知る手段にしてるのかもしれません。

その手段を提供してくれる人は逆に自分を成長させてくれるありがたい存在なのかもしれません。

「嫌いな人ほど好きになれます。」

 

私としては、この姿勢は少しでも真似したい姿勢です。

 

本書はこれだけではありません、興味のある方は一度手にとって読まれるといいと思います。 

石黒教授の”人生哲学”の講義を約1500円で受けることができたと思うと、
価値あるものだと思います。