本の紹介”人工知能の哲学 -松田雄馬”

人工知能の「知能」とはそもそも何か。

本書は、それを探るため人工知能の歴史とその周辺分野について記述された本です。

人工知能は、学際的な分野です。

機械学習の分野はもちろんのこと、認知科学脳科学などからのアプローチもあります。

本書では、それぞれの視点から「知能」を論じていますので、
人工知能とその周辺分野を概観するための良い入門書になると思います。

 

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現在はディープラーニングに代表されるようにニューラルネットワークに注目が集まっています。
ディープラーニングの研究をこのまま推し進めていけば人工「知能」が達成されるのでしょうか。 

たしかに「知能」のような動作をするものは作れるかもしれませんが、そもそも「知能」とは何かよく分かっていないので、どこかで壁にぶつかると私は思っています。

その壁を飛び越すためには、脳科学認知科学複雑系などのさらなる知見が必要になってくると思いました。

 

 

 

本の紹介”現れる存在 -脳と体と世界の再統合”

”現れる存在 -脳と体と世界の再統合”アンディ・クラーク

・脳と身体と環境の相互のやり取りの中で認知が創発される。

・脳は認知負荷を下げるべく、外部の資源を積極的に使う。

・そもそも生き物は身体自体に工夫がされており、抽象的な思考がなくとも現実の環境に柔軟に対応できるようになっている。

 

人間の認知能力は脳にあると思っていたがどうやら、本書を読んでそうじゃないことが分かった。

脳や身体、環境との相互作用の中で生まれるらしい。

 

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本の趣旨と大きくずれるが、
今まで私の生活を振り返ってみると、脳での処理に依存しすぎていたような気がする。 脳は一番エネルギーを消費する器官であると聞いたことがある。
脳への過度の依存はおそらく良くないのだ。

 

ではどうするのか。思いつきであるが、認知不可を身体や身の回りの環境に肩代わりさせれば、脳の認知負荷は軽くなっていい感じになるのではないか。

・記憶しなければならないことはメモする(外部記憶を活用する)

・身だしなみを綺麗にして、相手に与える印象を良くすることで、コミュニケーション負荷を下げる(服装という身の回りの環境を改善する)

・顔を笑顔に保つことでコミュニケーション負荷を下げる(身体を使ったコミュニケーションを行い脳の負荷を下げる)

・頭でシミュレーションするのをやめて、体を動かし実際どうなるか現実世界で確かめる。(頭でのシミュレーション不可が減る)

・プログラムの本を読むのをやめて、実際に手を動かしてコードを書いて学ぶ(体で学ぶ)

脳に掛かる負担を身体や環境に分散させることで快適な生活が送れれば良いと思う。 

本の紹介”トップ企業が明かすデジタル時代の経営戦略”

日本は今、大きな変化の中にいます。


高度成長期には大量生産大量消費でより安く、より品質が良いものを求めてきました。
しかし、現在はそうではありません。


ロングテールという言葉があるように、消費が多様化し、かつ、モノは必要最低限しか購入されないのにコトにはお金を使われるようになりました。
例えば、CDの売り上げは横ばいなのに対し、歌手のライブ・コンサートの売り上げは伸びてきています。このことから消費行動がモノからコトへと変化してきていることが言えます。

 

また、失われた20年の人余り時代から、少子高齢化で働き手の人手不足時代へ突入します。人手不足を解消するために、人でやっていたことをシステムに置き換えるといったことが起きてきます。

 

その流れの中で、IT部門の役割も大きく変化してきます。

今までの部門最適のシステム導入から全体最適のシステム導入へ変化し、
コスト削減(バックエンド業務側)のためのITから、稼げるサービス(フロントエンド業務側)へと変化します。

このように時代とともにITも変化することから求められるCIO像も変化してきます。
今まではITについて明るい人が適任でしたが、これからはITについて明るいのはもちろんのことデザイン思考のできるビジネスプロフェッショナルでなければならない。

 

 時代が進むにつれ、ITの持つ力はどんどん大きくなってきます。
この流れに乗ることで、会社の繁栄につなげることができると思います。

本の紹介”枠を壊して自分を生きる -石黒浩”

今回紹介するのは、”枠を壊して自分を生きる”。

ロボット工学の研究で有名な石黒教授のこれからの生き方・仕事術などに関する本です。

この本は大きく3つのテーマについて書かれていると思います。

■一つ目は、これからくる人間と機械とが融合する未来で、今までの枠組みが通用しなくなり自分で考えることが必要になる。

■二つ目は、”嫌い”という感情との向き合い方の話。自分を進化させる方法。

■三つ目は、筆者の仕事術についての話。何かを成し遂げるためには”死ぬ気”で取り組む必要がある。

 

本の中で、印象に残る文がたくさん出てきます。

 「僕にとっての『考える』は、すなわち『書く』ことである」という文は、かなり強力な文です。頭の中でぐるぐるしているのでは、考える内に入らない、それをノートなりホワイトボードに『書く』ことで考えることになるのだ。

 「実際に、死ぬ覚悟ができると、やはり脳はそれを必死になって回避しようとするようです。」筆者自身も3回死にかけ、あるテーマに文字通り命を掛けて取り組んでいるようです。

 

 この本全体を通して筆者は、常に筆者は”人とは何か、自分とは何か”を考え続けていることが分かります。 

そのことがわかる、筆者の”嫌い”という感情との向き合い方についての書かれた部分について。

「僕には人の好き嫌いがありません。世の中に嫌いな人がいないのです。」

筆者は自分には人に好き嫌いはないと言っています。
人の好き嫌いをなくす、そのなことは可能なのでしょうか?

 

 読み進めていくと、そもそも嫌いという感情はどのように起きるかが書かれています。

「嫌いだと感じる部分は、必ず自分の中にある。これは重要な原理です。」

自分が内部に持つイヤなことを、他人が目の前で再現するから、その人に対して腹が立つと言っています。

これが嫌いを生み出すメカニズムです。

 

「無意識に遠ざけている自分の欠点を教えてくれるのが『嫌い』という感情なのですから、これは大切にしなければなりません。」

「嫌いな人を排除するなんてもったいない。まさに百害あって一利なしです。」

その嫌いという感情を観察すれば、自分が改善すべきところが見えてくると言っています。嫌いという感情を喜んで受け入れ、自分の改善点について思いを巡らし、改善する成長する。

 

嫌いという感情は心地の良いものではありません。できれば避けたい感情です。

しかし、筆者は自分の成長に繋がるならと真正面から向き合っています。

嫌いという感情を通して自分を知る手段にしてるのかもしれません。

その手段を提供してくれる人は逆に自分を成長させてくれるありがたい存在なのかもしれません。

「嫌いな人ほど好きになれます。」

 

私としては、この姿勢は少しでも真似したい姿勢です。

 

本書はこれだけではありません、興味のある方は一度手にとって読まれるといいと思います。 

石黒教授の”人生哲学”の講義を約1500円で受けることができたと思うと、
価値あるものだと思います。

 

本の紹介”アサーション・トレーニング -平木典子”

今回紹介する本は、”アサーション・トレーニング”です。

この本は、アサーションとはどういうものか、生活で活かすためにどういう点に気をつけたらよいかを説明した本です。


そもそも聞きなれない”アサーション”とはなんでしょうか。
アサーション”にあたる日本語がないため、この本では<自他を尊重するコミュニケーション>と定義しています。

 

自分も大切にして、相手も大切にしたコミュニケーションがアサーションですが、
どちらか片方だけを大切にしたコミュニケーションは日常生活でよく見ることができます。

例えば、自分だけを優先したコミュニケーションでは、

暴力的に相手を責めたり、大声で怒鳴ったりして、相手の気持ちを無視して一方的に自分の欲求を相手に押し付けるようなコミュニケーションの取り方。

一方で、自分のことを犠牲にして相手のことだけを優先したコミュニケーションもあります。自分の表現したいことがあるのにもかかわらず自分で自分の言論の自由を放棄してしまっている場合です。

上記2つとも自他を尊重したコミュニケーションになっていないため
アサーションになっていません。この状態が続くと自分か相手のどちらかに心身に悪い影響が出てくると考えられます。

この本ではそうならないようにどうしたらアサーションができるのかポイントが書かれています。

 

アサーションの権利については、1948年12月10日に国連総会において採択された世界人権宣言が土台となっています。
その世界で認められている権利を自ら放棄したり放棄させたりすることは、
世界人権宣言に背くことになります。

 

私もアサーションできているかというとそうではありません。
場合によっては、自分の権利を放棄し相手の意向に沿おうとすることがあります。

アサーションできるようにこの本で書かれていることを心がけていきたいです。

 

アサーションについてよく分かる本ですので、お勧め致します。

 

世界人権宣言については以下

外務省: 世界人権宣言

世界人権宣言 - Wikipedia

本の紹介”天 18巻 -福本伸行”

今回紹介する本(Kindle) は、”天 18巻”です。

”天”は有名な麻雀漫画ですが、天18巻では一切麻雀は行われません。

天才雀士アカギは若年性アルツハイマーにかかっており、自分が自分で無くなる前に自分で最期を迎えようとしています。

その時にアカギとひろゆきとの間に行われた対話(最終面談)が深く印象に残っており、今でもこの18巻だけ時々読み返すことがあります。

 

ひろゆきは、心の奥で追いたいことがありますが、一流に到達することができないことを悟り今のサラリーマンの生活を送っていました。

アカギはひろゆきの停滞を察知し、負けの可能性をかんがえるな、もし仮に何かをして世間でいう失敗の人生でもいいじゃないかと言いいます。ひろゆきはその発言にそんなばかなと言いますが。。
たとえ一流になれなくても熱い三流で上等だとアカギは言います。

アカギは一見無責任なことを言っているようにも見えます。自分のやりたいことに挑戦してもし人生に関わる大きな失敗をしたら元も子もないように思います。

ひろゆきのように失敗の人生になるよりかはまともな普通な人生の方がいいとも思います。

 

私もどこかで、まともでありたいとか、普通な人生をおくりたいとか思います。
他人から見てあの人はまとも、まともじゃない、普通、普通じゃないということでしょうか。
しかし、他人から見てまともな人生は自分にとって遂行したい人生でしょうか。

アカギは他人から見た人生や失敗などを気にせず自分の人生を生きるべきだと言っているような気がします。

 

夢を追うのか現実的に生活していくのか、難しい判断です。

人生は1回で期限があります。
どのような人生を選択するかはその人が決めるのですが、
できるのなら熱い人生を送りたいですね。

 

 

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